"売れる"って事について。
そもそも売れるって言葉には何か他力本願な部分を感じる。
正しいかどうかは分からないけど、"売る"って言い方の方が近い気がするし、そっちの方が心の汚くも本当の部分見えてる気がしていい。
微々たる差ではあるんだけれど。
なんというか、売らなきゃ売れないというか。伝わるかな。
売らなきゃ売れないんだけど、売るために活動してるかっつったら、本質はそこじゃなくて。
まあ極論、最悪CDを買ってもらえなくてもその日見たライブが一生忘れられないものになったなら、まあそれで良いというか。
要は金が全てでは無いってこと。
もちろんCDやグッズが売れなきゃバイト増やすし、ツアーの本数も減るだろうし。悪循環。環境は悪化。
でも次こそはと、意気込んでまた作るし。
だからやっぱり金が全てでは無い。
と言うと大袈裟なのかな、でも原動力はそこじゃない。
数字に惑わされすぎ。
自分の立ってる地面を踏みしめ無さすぎ。
上ばっか見すぎ。
俺はいつ、どこで、何をしようとしているのか。
見失いすぎ。すれ違い過ぎなんだ。
先日、高崎駅の一角でアコギ一本で歌ってた。
そしたら、同い年くらいのちょっとチャラチャラした男二人組のひとりが、興味無さそうな友達を差し置いて立ち止まって聞いたくれた。
一曲、歌い終わったあとに俺に聞いた。
男「なんで音楽やってんの?」
唐突な質問に頭を回転させても答えは出ない。振り絞る。
俺「夢だったから。」
あー。我ながら素晴らしい回答。
そうだよね、夢の上に今も立ってんだ。
座って歌ってたけど。
なんて自己陶酔していたら男は続けざまに質問を続ける。
男「夢を追うのって怖くないの?失敗したらどうすんの?」
こんな質問に対して言えることはもう3〜4年前から一つだけ。
俺「めちゃ怖い。失敗したら超ヤバい。」
ギャルの如く口から飛び出した頭の悪そうな言葉。でも本当にそう。
夢を追うのはめちゃ怖い。失敗したら超ヤバい。
男は言う。
男「俺は四年生の大学行って、今就活中。行きたい企業は落ちて、やりたいことやれなくなって、行きたくないところに行くか、もう少し頑張って夢を追うか迷ってるんだ。」
俺はふーん。と、一息。
男「そんな歌作ってくれよ…!」
はい俺のターン。
俺「あるよ!」
こんな情けない迷える子羊のためにこそKAKASHIはいるのだ。
男「えぇ!あんのか!」
俺「うん。聞いてよ。愛すべきくだらない世界、って曲なんだけど。」
男「聞かせて。」
(聞いた気になってくれ)
歌い終わって俺はありがとう、と言った。
男「わーー……すげえかっけえよ。なんだっけ曲名、優しい愛の世界だっけ?」
お前ちゃんと聞いてた???
まあでもちゃんと聞いてくれたし、いいか。
俺「愛すべきくだらない世界だよ」
男「あー、オッケー。」
いや興味無いんかい。
このあとリクエストでまさかのback numberを歌わされ、男は大喜び。
桜の花が舞い落ちるこの景色をいつか僕たちは並んで歩いていましたとさ。
ステキな出会いでした。
まあもう少し会話したんですけど、えらく感動してくれてたみたいです。
良かった良かった。
迷ってたけどちょっとだけ、あの日歌いに行ってよかったな、と思ったことでした。