soutroll's blog

そうたさんのお悩み相談室&日常

結果論

バンドなんて、やらなきゃ良かった。
そう思う事がたまにある。

それは、終わってしまう恐怖について、この先の不安について、上手くいかない苛立ちについて。

ギターを買った(買ってもらった)のは小学6年生。
175Rに憧れて黒のレスポール
初心者セットの12,800円、チューナー、シールド、アンプ付き。
大きな段ボールをその場で広げてどう弾くかも分からないそのギターを一日中抱きかかえてた。
チューナーなんて、意味分からないし。
シールドがなんでシールドって言うのかも分からないし。
ただひたすらに弦をかき鳴らした。
初めて覚えた大好きな曲のイントロを、その部分だけを、何十、何百回と繰り返し弾いた。
それだけで、俺の世界は輝いていた。

中学1年、初めて曲を作った。
先輩と一緒に作った曲は"ありがとう"っていうありきたりなタイトルの、サビでありがとうを繰り返すだけの簡単な曲。
世界で一番いい曲だと思った。
誰かに聞かせなきゃもったいない、そう思った。

たくさん弾いた。
好きなバンド、好きでもなんでもないバンド、なんでもかんでも。
ギターっていう存在が、何度も孤独を振り払ってくれたんだとこの年になって思う。

高校生になって、バンドを組んだ。
SHAKALABBITSのコピーバンド。
これまた世界で一番かっこいいバンドだと思った。
何より楽しかった。
でも、ボーカルが抜けて俺がボーカルになって、オリジナル曲の製作が始まった。
CDも作った。CDも自分たちで焼いて、ジャケットものりで貼り合わせて、ケースを買って、一枚一枚袋にいれた。金もない俺らを助けてくれた人がいた。
最高に愛に溢れた1枚だったんだと今更になって思った。

専門に入ってKAKASHIが始まった。
当初、就職するまでの退屈しのぎだったKAKASHIはいつからか俺の人生になった。
夜中に練習して、上手くもないギターをならして、歌を歌って。
でもなんか楽しくなくて。
きっと、"勝ちたい"って気持ちが強くなって、自分のためにじゃなく、誰かのためにやろうとしたからだと思う。良くも悪くもね。

始めて"ちゃんと"CDを作って、ツアーに回った。
今でこそ簡単に"ツアー"とか言うけど、あの頃の俺からしたらツアーなんて夢にも思わなかった。
段々と、バンドをやってるんだって自覚がついた。
ツアーファイナルでたくさん人が来てくれて、500枚のCDがすぐに無くなって、何枚かCDを作って、またツアーに回って、仲間ができて、お客さんが増えて、笑ってくれる人が、泣いてくれる人が居て。

つくづくバンドなんてやらなきゃ良かったと思う。
もう、辞めたくなくなった。
出会った人に、歩いてきた過去に、誇りを持ってしまった。
ありがとうなんて言われる筋合いないんだよね、本当は。
俺が歌いたい事を勝手に歌って、聞きたいものをあなたが勝手に聞いて、たまたまそれで俺らが出会って。
それだけなんだよね、本当は。
きっとあなたも俺たちにありがとうなんて言われる筋合いないんだ。
聞きたくて聞いてんだから。

でも俺たちが何度もありがとうを繰り返すのは、出会えた事が嬉しかったんだと思う。
一番近い気持ちがありがとうだったんだと思う。だから伝えるんだと思う。

色んな人が色んな考えのもと、色んな言葉を言ってくるけど、俺とあなたの間に誰の言葉も関係ないと思う。
俺はあなたに、そんで、自分に歌いたいから歌う。
あなたは音楽を聞きたくて、聞く。
それでいい。何も難しい事はない。
無いのにな。

俺もっともっとかっこよくなって、かっこいい音楽鳴らすからね。
また、聞いてよね。絶対。